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お寺の掲示板(令和7年10月)

  • Writer: 木原祐健
    木原祐健
  • Sep 30
  • 3 min read

草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。


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「隣のレジは、早い。」


この言葉は東京都八王子市の浄土真宗寺院 延立寺の掲示板に書かれていたものです。

お心あたりのある方も多いのではないでしょうか。


『お寺の掲示板』の江田さんも、


私もスーパーのレジで並びながら、隣のレジのほうが早く進んでいるのを見て損をした気持ちになることが何度もありました。

このように共感を示していき、次第に人生と仏教に視線を広げていきます。


 隣のレジは早い。これは思い通りにはいかない人生を表した言葉であるともいえるでしょう。仏教における「苦」はサンスクリット語の「ドゥッカ」という言葉が元になっており、この原語には「思い通りにならない」というような意味合いが強く含まれています。

江田さんは、「隣のレジで支払いを終えた人がいる中でレジの列に並んでいるときにどんな気持ちになるか」というところから、私達が他者と比較することにより不幸を感じる性質について考えていきます。


以前、「他人と比べると不幸が始まる」という言葉が、あるお寺の掲示板に出ていたのを見かけたことがあります。これは俳優の故・藤村俊二さんの言葉だそうです。結局、他者(隣のレジ)と比較することを通して苦しみが発生するのです。

そこで江田さんは『法句経』という最初期のお経を引用して


他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。 (法句経50 中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』岩波文庫)

と、自分の行いに集中する重要性について着目します。



また、ラグビー日本代表のキャプテンも務めたことがある廣瀬俊朗さんを取り上げた「目標と目的の違いは……」という記事について言及しながら、廣瀬さんが下記の引用部で話す様々な「目的」こそが、私達が見るべき、「自分のしたこととしなかったこと」ではないかと考えていきます。


『目標』っていうのは、例えば『日本一になる』とか『試合に出る』とか、皆さん、あると思います。それは最後、天候だったり、監督が決めることだったり…。自分自身では決められない。でも、『目的』っていうのは違う。『なぜ自分はラグビーをしているのか』ということ。周囲の子どもたち、クラブハウスを毎日、キレイにしてくれていている方々…。そういった方々に『自分の姿勢』を見てもらうこと。ラガーマンなんて選手寿命はそう長くない。皆さん、いずれは引退する。その時に『何を残せたのか?』というのが『目的』だと思います。(中略)もちろん皆さん、『試合に出たい』と思うでしょ。ラグビーに限らず、どんなスポーツでもセレクションは起こる。でも、試合には出られなくても『自分自身は成長している』、『誰かに影響を与えている』…っていうことを考えた方が、健康的。もしくは将来、自分が成し遂げたいことにつながる。そこが大事なポイントかな…って思います。

そして江田さんはこのようにまとめていきます。


他者(隣のレジ)を気にしすぎず、自分の振る舞いや「目的」に意識を集中させたいものです。

私達はつい他者が気になってしまうものですが、他ならぬ私が目指すべき目的とは何か考えさせられることになりました。




引用部、『お寺の掲示板の深〜いお言葉』(江田智昭/ダイヤモンド・オンライン 2019年11月18日更新)より

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