お寺の掲示板(令和7年9月)
- 木原祐健
- 21 hours ago
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Updated: 5 hours ago
草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。

「正義の反対は別の正義」
この言葉は福岡県の浄土真宗寺院 通善寺の掲示板に書かれていたもので、
(公財)仏教伝道協会が主催する「輝け!お寺の掲示板大賞2024」にて、伝統ある宗教専門紙「文化時報」を発行する文化時報社から「文化時報賞」を受賞しました。
同社からの講評は以下の通りです。
正義の反対は悪、と思いがちですが、そうではありません。親子や夫婦、職場や学校、政治や国際社会。立場が変われば、それぞれの主張が正義です。「どっちもどっち」で思考停止しないよう、ご住職から教えを聞きたくなりました。
『お寺の掲示板』の江田さんは、この言葉を受けて、阿弥陀経の中に出てくる「共命鳥(ぐみょうちょう)」という鳥のお話を紹介します。
この鳥は一つの身体に頭が二つあり、一羽の名前をカルダ、もう一羽の名前をウバカルダと言います。同じ身体を共有しているにもかかわらず、二羽の仲は非常に悪く、いつもそれぞれが正しさを主張し、自分勝手な行動を繰り返していました。
ある日カルダが美味しい果樹の花を勝手に食べたことにウバカルダは激怒し、腹いせに毒花を食べて復讐しようとします。その結果、身体を共有している二羽は両方共に死んでしまうのです。
江田さんは、この話から「他を滅ぼすことは己を滅ぼすことにもつながる」という教訓を導き
「それぞれが正義を主張し、折り合わなければ、結局自身も含めた全体が滅びることになる」と現代の情勢を概観しつつ、今月の言葉をまとめます。
現在の世界情勢を見ると、それぞれのエゴ(正義)がぶつかり合い、戦争にまで発展しています。これがいつか世界全体の破滅につながるかもしれません。そのような悲劇を起こさないためにも、「正義」の取り扱いにはくれぐれも気を付けたいものです。
「正義」の取り扱いというところから、以前法話会で聞かせていただいた「善人ばかりの家には争いが絶えない 悪人ばかりの家には笑顔が絶えない」という言葉を連想いたしました。
引用部、『お寺の掲示板の深〜いお言葉』(江田智昭/ダイヤモンド・オンライン 2025年3月10日更新)より
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