お寺の掲示板(令和7年8月)
- 木原祐健 
- Jul 31
- 2 min read
草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。

「本当の正義の味方は 戦うより先に 飢える子供にパンを分け与えて 助ける人だろう」
この言葉は、浄土真宗本願寺派 永明寺の掲示板に書かれていたものです。
『お寺の掲示板』の江田さんは、この標語が何を語りかけているのかを私たちに問いかけます。
アンパンマンは貧しい人やお腹が空いた人に自分の顔をちぎって食べてもらいますが、
「作者のやなせたかしさんが従軍中に空腹や飢餓に苦しむ人を見たことや、ご自身もひもじい体験をしたときの思いがアンパンマンというヒーローの姿に結実している」と指摘します。これはキリスト教的な自己犠牲のあり方にも通じるものがあるそうです。
ここから江田さんは、仏教の「布施」という視点からアンパンマンの行動を見ていきます。
自分のものを分け与えることを仏教的に言うと、布施行(ふせぎょう)ということになります。
「お布施」というと、法事のときに僧侶に手渡すおカネという意味が一般的なのですが、それだけではありません。
みなさんは「無財の七施(むざいのしちせ)」という言葉を聞いたことがありますか?これはお金をかけずに誰にでもできる「お布施」です。
と、江田さんは「布施」、中でも「無財の七施」について説明します。
その内容は様々に表現できますが、江田さんは「大変なときこそ、仏様の心で」と書かれたある日の永明寺の掲示板から「無財の七施」の内容を紹介し、やさしい言葉でコラムを結びます。
1. 優しいまなざし(慈眼施)
2. 優しい笑顔(和顔悦色施)
3. 優しいことば(言辞施)
4. 誰かのために(捨身施)
5. 思いやりをもって(心慮施)
6 ゆずり合って(床座施)
7. 居場所をつくる(房舎施)
七施の基底にあるのは、思いやりの心を持って人と接するということです。まずはまなざしや笑顔、言葉から、気を配ってみませんか。
この掲示板が書かれたのは2018年のことですが、今改めて見直し、ふりかえる言葉となります。
引用部、『お寺の掲示板』(江田智昭/講談社 p76~p77)より










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