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お知らせ

News and Announcements

お寺の掲示板(令和6年12月)

草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。



「これでいいのだ」赤塚不二夫


故・赤塚不二夫作のギャグ漫画の金字塔、『天才バカボン』。バカボンのパパの決めゼリフが、今回の「これでいいのだ」です。

江田さんは仏教と『天才バカボン』について興味深い内容を教えてくれます。

このバカボンという名前は「薄伽梵(ばぎゃぼん)」、つまりは仏に由来しているとも言われています。実は仏教を意識した漫画なのです。
 「おでかけですか」と声をかけてくるレレレのおじさんは、チューラパンタカ=周利槃特(しゅりはんどく)が元になっているといわれています。お釈迦さまは教えを何も覚えられない彼にほうきを渡し、毎日僧院を綺麗にしなさいと説きました。それ以来、彼は言いつけを忠実に守り、毎日掃除に専念し、最後には自分自身の因縁も掃き清め、悟りに至ったと言われています。

江田さんは、「これでいいのだ」という決めゼリフに、お釈迦さまがどんな弟子も分け隔てなく拒否せずに受け入れたことを重ね合わせ

「すべてをありのままに受け入れる」悟りの境地をある意味示しているのです。

と、見ていきます。

江田さんの話は、赤塚不二夫さんの葬儀で、生前に親交の深かったタモリさんが読んだ弔辞に移ります。話題にもなったその弔辞では、「これでいいのだ」に表される境地が、このように言及されたそうです。

 あなたの考えはすべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また、時間は前後関係を断ち放たれて、その時、その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち、「これでいいのだ」と。

以下は江田さんのご感想を記します。

 さすがタモリさん。「これでいいのだ」という境地について、実に見事に説明しています。すべての事態をあるがままに受け入れることによって、「過去」や「未来」を離れた「現在」に意識がフォーカスされます。そのことによって、いまの瞬間が輝きを帯び、過去や未来に起因する無駄な悩みがなくなって、目の前にある幸せを感じられるようになります。
 「これでいいのだ」――これが天才漫画家・赤塚不二夫さんの人生を貫く最も重要な価値観だったのでしょう。わたしたちもこのような価値観をぜひ持ちたいものです。

すべての事態をありのままに受け入れ、目の前の幸せを感じられるようになる。「これでいいのだ」は、お念仏をいただくこととも通底している、仏教的で大切な言葉と考えさせられました。

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