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お寺の掲示板(令和4年5月)


草加光明寺の掲示板に毎月掲出している言葉をご紹介いたします。 取り上げる言葉とその解説は、『お寺の掲示板』(江田智昭著・新潮社)等を参考にさせていただいております。


「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ」 これは2020年の劇場映画が国内外で大ヒットし、現在も人気の高い漫画作品『鬼滅の刃』の登場人物である煉獄杏寿郎の言葉です。彼は敵方である「鬼」の一人に追い詰められ、「死も老いもない鬼にならないか?」と仲間入りを誘われるのですが、その誘いを断るときに出てきたのが今月の言葉です。 そして彼は、「老いるからこそ死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ」と続けます。

人間は誰しも老いることや死ぬことを避けることはできないものですが、若き日のお釈迦さまもまた、老いや死について深く悩まれた方でした。「四門出遊」という故事をひもといても、シャーキャ族の王子であったお釈迦さまは人間が避けられない「老」「病」「死」について深く悩み、やがて立派な出家者の姿を目にすることをきっかけにご自身も出家することを決意します。

そんなお釈迦さまは約六年の修行ののちに三十五歳でさとりを開き、それから四十五年間、各地を巡って多くの方々に教えを説きつづけました。旅の中で入滅を目前としたお釈迦さまは、これまで慣れ親しんだ様々な場所を振り返り、その地をひとつひとつ、心から讃える詩句を残されます。 『お寺の掲示板』著者の江田さんは、その言葉を発したお釈迦さまの心境を「万物のあるがままのすがたを受け入れてきたお釈迦さまがその晩年に世界や人生の美しさを表したものではないか」と仏教学者・奈良康明師の著作をもとに説明し、その後に続くお釈迦さまの印象的な言葉を紹介しています。

「この世は美しい。人の命は甘美なものだ」

最後は江田さんの解釈です。

すべてをあるがままにお釈迦さまのように受け入れたとき、老いることも死ぬことも人間の美しさと捉えられるのかもしれません。

ともに、『お寺の掲示板 諸法無我』P13より

老いや死をあるがままに受け入れることは本当に難しいことではありますが、それゆえにか、晩年のお釈迦さまが表された言葉と今月の言葉に心を動かされます。